みなさんは「投資」、「投機」、「ギャンブル」の違いってわかりますか?
よくわかっていない方、なんとなくはわかるけど詳しくは説明できない方が多いのではないのでしょうか。
実際、私も少し前までそれらの違いについてよくわかっていませんでした。
最初は「投資」として長期的な値上がり益を狙っていたのに、いつの間にか短期的な値動きに惑わされて頻繁に売買を繰り返す「投機」を行っている方も多いと思います。
今回は「投資」、「投機」、「ギャンブル」の違いと正しい資産運用の方法について説明したいと思います。
「投資」、「投機」、「ギャンブル」の違いについて説明する前にまずは「サムゲーム」について説明したいと思います。
サムゲームとはゲーム理論のことであり、利害の総和によってプラス、ゼロ、マイナスに分類されます。
つまり、参加者全員の利益合計が投資額に対して、
- プラスになるときは「プラスサムゲーム」
- プラスマイナスゼロになるときは「ゼロサムゲーム」
- マイナスになるときは「マイナスサムゲーム」
と言います。
プラスサムゲームは参加者の合計投資金額よりも還元額が多いゲームです。
そのため、大きく勝つ人や大きく負ける人などがいますが平均すると全ての参加者が勝つことになります。
ゼロサムゲームは参加者の合計投資金額を分配するゲームです。
そのため、必ず勝つ人と負ける人が存在し、勝った人と負けた人の取り分を合計するとプラスマイナスゼロになります。
マイナスサムゲームは参加者の合計投資金額よりも還元額が少ないゲームです。
運営者が集めたお金からいくらかを抜いたりするケースが該当し、平均すると参加者は損をすることになります。
投資とは
「投資」とは株式や不動産、債券を長期で持つことであり、プラスサムゲームです。
個別株や特定の地域で見ると株価が横ばいであったり低下していることもありますが、世界経済は成長を続けており、今後も成長し続けると考えられます。
また、世界経済の株価も短期間で見ると今回のコロナショックのように低下することもありますが、長期間で見ると基本的には右肩上がりになっていくと考えられます。
そのため、長期運用においてはキャピタルゲインだけではなく配当金などのインカムゲインも得ることができます。
なお、キャピタルゲインやインカムゲインについてよくわからないという方は前回の「どちらの利益を狙う?【キャピタルゲインとインカムゲイン】」の記事を参考にしてください。
投機とは
「投機」とは、市場の短期間の値幅の差額を狙って行う売買のことです。
つまり、主にキャピタルゲインを狙う手法です。
株式のデイトレードやFXトレードなどがあり、誰かの利益が誰かの損失になることからゼロサムゲームと言われています。
投資 = キャピタルゲイン+インカムゲインを狙う
投機 = キャピタルゲインを狙う
投機のメリット、デメリット
「投機」のメリットは短期間で大きな利益を得る可能性があるということです。
また、一時的に勝つことはできても、短期間の売買で常に勝ち続けることは非常に困難です。
大きな利益を得たデイトレーダーやFXトレーダーなどがメディアに取り上げられることもありますが、運やタイミングの要素もありますし、それらの方の話は参考にしても良いと思いますが再現性は高くないと思います。
また、先程もお話ししたように投機はゼロサムゲームであるため大きな利益を得るトレーダーがいる一方、その裏では多くの負けているトレーダーがいます。
自分が行っているのは投機であると認識しているのであれば問題ありませんが、その際にはリスク管理を徹底するようにしましょう。
具体的には過剰なレバレッジ(自己資金の何倍もの取引を行うこと)を控えること、損切りを確実にするようにルールを決めておくことが重要です。
レバレッジをかけた取引では運が良ければ短期間で大きな利益を得ることができる一方、運が悪いと短期間で大きな損失を生じ、最悪自己破産につながる可能性もあります。
そのため、レバレッジをかけた資産運用はお勧めできません。
投機とギャンブルの違いは?
ギャンブルには運営者がいて場所代などの高額な手数料を取っています。
つまり、運営者の利益を差し引いた残りの金額を参加者同士で争う仕組みとなっております。
例えば、日本国内のギャンブルの還元率(掛け金に対して参加者に戻ってくる割合)と運営者の取り分は大体以下のようになっていると言われています。
還元率 | 運営者 | |
パチンコ | 80~85% | 15~20% |
競馬・競輪・競艇 | 70~80% | 20~30% |
宝くじ | 45% | 55% |
このようにギャンブルはマイナスサムゲームであり、やればやるほど負けが膨らむ仕組みになっています。
「一攫千金狙い」ということであれば投機とギャンブルは近いといえます。
しかし、投機ではリスク管理を徹底すれば勝つこともできます。
投機をギャンブルにするかどうかはリスク管理にかかっていると言えるでしょう。
資産運用を投機にしないために
資産運用とは、保有している資産を管理・運用して利益を得ていくことです。
資産運用には「貯蓄」と「投資」の2種類があります。
「貯蓄」とはお金を蓄えることであり、銀行の預貯金などがあります。
一方、「投資」とは中長期でお金を増やしていくことであり、株式や投資信託などの購入があります。
注意しなければいけないことは、同じ金融商品でも運用方法によって「投資」にも「投機」にもなりうるということです。
「投機」がダメというわけではありませんが、資産を増やす方法の王道は世界の経済の成長に身を任せてプラスサムゲームを行う、つまり「投資」となります。
短期的な値動きに惑わされず、配当金などのインカムゲインを受け取ったりしながら長期間の投資を行うことが資産運用において重要であるということを忘れないようにしましょう。
まとめ
「投資」、「投機」、「ギャンブル」の違いと正しい資産運用の方法について説明させていただきました。
投機では短期間で大きな利益を得る可能性がありますが、常に勝ち続けることは非常に困難です。
自分が行っているのが「投資」なのか「投機」なのかをきちんと認識して、正しい資産運用を行うようにしましょう。