投資では「安く購入し高く売却する」のが基本となりますが適切なタイミングで売買するのは投資のプロでも難しいです。
偶然良いタイミングで売買できることもあるかもしれませんが毎回続けるのは不可能です。
そのため投資において一番大事なことは高値掴みをしないということです。
高値掴みをしないための、長期の資産運用におすすめな投資法としてドルコスト平均法があります。
今回はドルコスト平均法について詳しく説明したいと思います。
ドルコスト平均法とは
株価は日々変動していますが、どのような値動きをしていても定期的に一定の金額で購入していく方法のことをドルコスト平均法と言います。
株価が安いときにはたくさん購入し、高いときには少なく購入するため、平均購入単価を抑えることができます。
ドルコスト平均法と聞くと外貨の「ドル」を思い浮かべるかもしれませんが無関係であり、日本円での投資でもドルコスト平均法と言います。
毎月購入が一般的ですが、証券会社によっては毎日購入することもできます。
具体例
ある1つの会社の株式に継続して投資をすると仮定します。
仮に4か月間で以下のように株価が推移したとします。
1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 3ヶ月目 | 4ヶ月目 | |
株価 | 100円 | 80円 | 200円 | 120円 |
この株を毎月30,000円分購入する場合(定額購入)と毎月300株ずつ購入する場合(定量購入)で比較してみましょう。
定額購入の場合(ドルコスト平均法)
1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 3ヶ月目 | 4ヶ月目 | 合計 | |
株価 | 100円 | 80円 | 200円 | 120円 | |
株数 | 300株 | 375株 | 150株 | 250株 | 1,075株 |
投資金額 | 30,000円 | 30,000円 | 30,000円 | 30,000円 | 120,000円 |
毎月30,000円分購入するため投資金額は一定となります。
株数は「投資金額÷株価」となるため月によって異なり、株価が安いときにはたくさん購入し、高いときには少なく購入することとなります。
4か月間の投資においては、合計で120,000円で1,075株を購入したこととなります。
つまり1株あたりの平均購入単価は、
120,000円 ÷ 1,075株 = 111.6円
となります。
定量購入の場合
1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 3ヶ月目 | 4ヶ月目 | 合計 | |
株価 | 100円 | 80円 | 200円 | 120円 | |
株数 | 300株 | 300株 | 300株 | 300株 | 1200株 |
投資金額 | 30,000円 | 24,000円 | 60,000円 | 36,000円 | 150,000円 |
毎月300株分購入するため株数は一定となります。
投資金額は「株価×株数」となるため月によって異なり、株価に比例して高くなっていきます。
4か月間の投資においては、合計で150,000円で1,200株を購入したこととなります。
つまり1株あたりの平均購入単価は、
150,000円 ÷ 1,200株 = 125円
となります。
このように、両者の平均購入単価を比較すると、定額購入の場合(ドルコスト平均法)の方が安くなります。
メリット
- 株価が安いときにはたくさん購入でき、高いときには少なく購入できるため、平均購入単価を抑えることができる。
- 毎月の投資額が決まっているため支出の管理がしやすい。
- 長期投資を前提としており、株価の上下に一喜一憂する必要がない。
- 株価が下がった場合、「たくさん購入できる」とポジティブに捉えられる。
デメリット
- 短期的な売買で大きな利益を得るのは難しい。
- 株価が右肩上がりの場合、少量ずつしか購入できない。
- 株価が右肩下がりの場合、そのまま購入を続けると大きな損失になる可能性がある。
ドルコスト平均法の基本は長期投資&投資信託
ドルコスト平均法による短期的な売買で大きな利益を得るのは難しいですが、長期投資においてはおすすめの投資法です。
また、個別株でも利用できますが、投資信託がおすすめです。
では、投資信託を購入する際のポイントについて説明したいと思います。
ノーロード(販売手数料無料)商品を選ぶ
ドルコスト平均法では定期的に購入することとなるため、販売手数料がかかるものを購入する場合、手数料がかさんでしまいます。
最近はかなり増えてきましたが、ノーロード(販売手数料無料)であれば手数料の心配がなく、手数料分も投資に回すことができます。
そのため、手数料がかからないノーロード(販売手数料無料)の投資信託を購入しましょう。
複数の投資信託に分散投資
ドルコスト平均法により、「時間」を分散させることでリスクを減らすことができます。
さらにリスクを減らす方法として、「地域」「資産」の分散があります。
地域 : 国内、先進国、新興国
資産 : 株式、債券、REIT(リート)
※REITとは不動産のことです。
つまり、投資信託には「国内株式」「国内債券」「国内REIT」「先進国株式」…などがありますが、これらを分散させることでよりリスクを減らすことができます。
つみたてNISAと相性抜群
つみたてNISAについて詳しく知りたい方は「投資初心者にお勧めのほったらかし投資~つみたてNISAの基礎知識~」の記事を参考にしてください。
つみたてNISAとは小額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度であり、金融庁が選定した投資信託の中で毎年40万円まで最長20年間非課税で投資することができます。
つまり、つみたてNISAの対象となっている投資信託は金融庁が長期運用に適していると認めたものであり、また、全てノーロード(販売手数料無料)です。
以上より、ドルコスト平均法とつみたてNISAは相性抜群であると考えられます。
すでにつみたてNISAを行っている方は、「毎月決まった日に33,333円分購入する」といったように設定している方も多いでしょう。
33,333円/月×12ヶ月=399,996円/年
まだつみたてNISAを行っていない方はこれを機に始めてみたらいかがでしょうか。
つみたてNISAの非課税の恩恵を最大限生かすためには上限まで投資するのが望ましいですが、一番大事なことは無理ない範囲内で行うことです。
無理して上限まで投資しても資金が足りず長期に運用できなければドルコスト平均法は成立しません。
余裕のある金額を設定し無理ない範囲内で長期に運用しましょう。
まとめ
ドルコスト平均法は長期の資産運用におすすめな投資法です。
投資信託、特に、つみたてNISAと相性抜群です。
余裕のある金額を設定し無理ない範囲内で長期に運用しましょう。
また、株価の上下に一喜一憂する必要はなく、株価が下がった場合は「たくさん購入できる」とポジティブに捉えましょう。