日常診療

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について

新型コロナウイルス感染症

2020年5月時点での新型コロナウイルス感染症の情報についてまとめたいと思います。

現状

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2020年1月中旬から2月下旬にかけて中国で流行が始まり、現在はヨーロッパ、アメリカなど先進国を中心に流行している。

また、日本国内でも都市部を中心に感染者は増加傾向であり引き続き警戒が必要である。

潜伏期間

4~5日でありほとんどの症例が2週間以内に発症する。

そのためCOVID-19患者に濃厚接触した場合は2週間の隔離が必要と判断されている。

自覚症状

発熱、咳、呼吸苦、筋肉痛、倦怠感、頭痛などが挙げられ、まれに嘔気・嘔吐・下痢などの消化器症状を認める。

また、味覚障害や嗅覚障害を認めるのが特徴的であるが全例に認めるわけではない。

臨床経過

約80%の患者は軽症のまま良くなる(発症~1週間程度)
約20%の患者は1週間~10日かけて肺炎症状が増悪し入院する
約5%が集中治療室に入る
約2~3%が致命的となる

特に高齢者・基礎疾患(糖尿病など)のある患者の重症化のリスクは高い。

画像所見

胸部レントゲンで異常があったのは59.1%
胸部CTで異常があったのは86.2%

無症候性感染者であっても胸部CTを撮影すると肺炎像が観察されることがある。

つまり、私たちが日常診療において診察しているのは氷山の一角の可能性が高く、実際には感染しているけど無症状である場合も多いと考えられる。

検査

病原体検査(PCR)で確定診断となる。

下気道由来検体(喀痰もしくは気管吸引液)での検査が望ましいが困難な場合は鼻咽頭ぬぐい液(インフルエンザ検査で採取する方法と同様)で検査を行う。

検体別検出率

気管支肺胞洗浄(BAL)93%
経気管支肺生検(TBLB)46%
喀痰72%
鼻咽頭ぬぐい液63%

日常診療において一般的に行うであろう鼻咽頭ぬぐい液は検出率が低く偽陰性の可能性もある。

そのため病歴よりCOVID-19を強く疑う場合は再検査を考慮する必要がある。

治療法

現時点では有効な治療薬はなくWHOなどは感染対策を行いながら対症療法を行うことを勧めている。

また、はっきりと有効性が確認されたものはないが治療薬の候補としては下記が挙げられ現在検証中もしくは今後検証が行われる予定である。

薬剤と適応疾患

レムデシビルエボラ出血熱
ファビピラビル
(アビガン)
インフルエンザ
イベルメクチン
(ストロメクトール)
寄生虫感染症
ロピナビル/リトナビル
(カレトラ)
HIV/AIDS
クロロキンマラリア
ヒドロキシクロロキンマラリア、SLE
シクレソニド気管支喘息
トシリズマブ関節リウマチ

まとめ

2020年5月現在の情報であり今後変更となっていく可能性がありますのでご了承下さい。

緊急事態宣言が延長されまだまだ先行きが見えない状況ですが皆さんくれぐれも体調に気を付けてお過ごしください。

参考文献

N Engl J Med. 2020 Feb 28; Clinical characteristics of coronavirus disease 2019 in China

Lanct Infect Dis. 2020 Feb 24; Chest Radiographic Findings of Patients Infected with 2019-nCOV

JAMA. 2020 Mar 11; Detection of SARS-CoV-2 in Different Types of Clinical Specimens